デッドリフトはどこの運動か?

これから数回にわけて、ナロースタンスデッドリフト(以下、DL)の解説記事を書いていこうと思います。スクワットと並んで、けが人を生み出すエクササイズとして名高いですね。ジムでもDLが原因で怪我をした方は多いはずですが、この連載でリスク軽減につながれば幸いです。

そもそもどこの筋肉が動くか?

DLが背中の種目だと思われている方が多いようですが、この考え方は危険です。もっとはっきり言えばケガの元ですので改めましょう。DLで仕事をする筋肉は、背面側の筋肉のほぼ全てが何らかの形で仕事をします。

筋肉の役割とは?

ちょっと寄り道して、筋肉の仕事について解説。ステキなサイトで、説明されてるので引用します。

1. コンセントリック収縮

筋肉が短くなりながら張力を生み出すことを言います。ダンベルカールを思い浮かべると分かりやすいでしょう。ヒジが曲がり、ダンベルが肩に近付いていくとき、上腕二頭筋は短くなっています。
他に例えを挙げると、イスに座っている状態から立ち上がるときには、ヒザと股関節を動かす筋肉がコンセントリック収縮を起こします。

2. エキセントリック収縮

筋肉が長くなりながら張力を生み出すことを言います。ダンベルカールでダンベルを下ろすときやイスに座るとき、同じ筋肉が長くなりながら張力を生むことで、ダンベルや身体を下ろす動作をコントロールする働きをしています。これをエキセントリック収縮と言います。
ボディビルの世界では、このエキセントリック収縮はよく「ネガティブ」と呼ばれます。

3. アイソメトリック収縮

筋肉の長さを変えず、姿勢をコントロールすることを言います。イスに座るときには、ヒザと股関節が動いて身体を下ろしていく間、背中の筋肉はアイソメトリックな働き方をすることで脊椎を同じ形に保っています。床に対する背中の角度は変わるかもしれませんが、背中とお腹まわりの筋肉によって、脊椎を構成する椎骨は動くことなく正しいつながりが維持されます。
筋肉痛で筋肉は強くならない

上記の説明で1つだけ補足するならば、ダンベルカールにおいてのアイソメトリック収縮を行っている筋肉についてです。ダンベルカールを行っている間にアイソメトリック収縮をしている筋肉は、手首の関節をコントロールする前腕部にある筋肉とダンベルを保持する手の筋肉がそれにあたります。

 

ものすご~~くざっくり言えば、これら筋肉の仕事をダンベルやバーベルを利用して、邪魔しつつ適応させていく作業が筋トレなわけです。

DLで曲がっている関節はどこか?

上記を理解したとして、DLの動きを見てみましょう。

動画のサムネイルがちょうどスタートポジションからちょっと上になっていて、わかりやすいですね。上記の動画は音も無いのでオススメです。

下から順番に見ていきます。

膝関節

スタートポジションでは、膝関節が少し曲がっている状態です。これが、トップポジションでは真っ直ぐになるので、伸びている大腿四頭筋がコンセントリック収縮をして、膝を伸ばします。

股関節

スタートポジションで大きく曲がっており、DLの動作中に1番大きく仕事をする関節です。伸びている筋肉はお尻の部分にある大殿筋。大殿筋が伸びている状態からコンセントリック収縮をしてトップポジションに到達します。

脊柱起立筋

動画を見るとわかりますが、動作を通じて微動だにしません。じゃあ、仕事してないかと言うとそれも違います。バーベルから来る重力に対して、アイソメトリック収縮をして脊柱が曲がらないようにしています。

もしも、脊柱起立筋がない状態でDLを行ったと仮定するならば、脊柱のどこかしらがポキっといくでしょう。

僧帽筋

脊柱起立筋と同様にアイソメトリック収縮をして、バーベルからの負荷に対応しています。脊柱起立筋が縦のアイソメトリックに対して、僧帽筋群は横のアイソメトリック収縮をしています。

僧帽筋がない状態でDLを行ったとしてみましょう。おそらく肩甲骨周りから真っ二つですね。

広背筋

動画にはのってませんが、次回位に詳しく解説予定です。基本としてはバーパスの制御を担っています。

 

ここまで、読んでいただくとわかってもらえると思いますが、大きく仕事をしているのは大殿筋です。上半身の筋肉は、バーベルから来る張力に対して動かないように対抗しています。

でも、背中に筋肉痛来るじゃん!

と、思った方。おっしゃる通りです。何故なら、筋肉痛はコンセントリック収縮よりも、アイソメトリックやエキセントリック収縮の時に発生しやすいからです。

これらの解説も、実は上記で引用したサイトに掲載されています。

タネ明かしをすると、筋肉痛はエキセントリック収縮がもとになって起こります。コンセントリック収縮では筋肉痛は起こりません。アイソメトリック収縮では、完全にコントロールしきれず、多少なり筋肉の長さが変わった場合にのみ筋肉痛が起こります。
上にも書いたようにこの記事で詳細には触れませんが、これは筋線維の収縮する部分で細胞レベルで起こる変化に起因しています。

つまり、一定程度のエキセントリック収縮をともなう運動で筋肉痛は起こり、「ネガティブレップ」にこだわれば特にひどい筋肉痛を起こすことができます。
例えばベンチプレスでは、自分で挙げられるギリギリまで行ったあと、トレーニングパートナーにバーベルを挙げるのを補助してもらい、自分はできるだけバーベルをコントロールしてゆっくり下ろすようにします。これを2〜3レップも繰り返せばまともに力を出せなくなります。バーベルを挙げるのはほぼパートナーに頼ることになり、バーベルを下ろすスピードもコントロールできなくなります。
これでパートナーはクタクタになり、自分はひどい筋肉痛を味わうことができます。
筋肉痛で筋肉は強くならない

引用したこのページに留まらず、athletebody.jpはステキなサイトです。筋トレしている方なら、是非とも熟読されてください。

ここまで読めば大体分かるでしょうが、要するにDLの動作中において大殿筋は筋肉痛が起こりづらく、補助的に大きな役割を果たす背中の筋肉は筋肉痛が起こりやすくなります。

でも、あくまでもDLは股関節を主体としたトレーニングであって、背中のトレーニングではありません。どれだけ背中の筋力が強かろうがDLでバーベルは持ち上がりません。まずは、ここをしっかりと理解しましょう。

今後の連載予定

ここまで、読んでいただいてDLは背中の種目では無い事はお分かりいただけたかと思います。背中の筋肉痛が来て臀筋群に筋肉痛が来ない矛盾も解消されてるかな。。。

これから数回に分けて、DLに関する記事を掲載予定ですが、大体以下のタイトルを予定しています。

ご期待くださいませ!

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