デッドリフトの上げ方と下ろし方

バーベルとプレートに見えて実は・・・

上記の写真が、パット見でバーベルとプレートに見えて『あれ?何か違くね?』と思った方は完全に病気です。脳みそに筋肉が侵略しつつあります。

もちろん私もそう思った一人でございます。他にも居ると思うので、コメント欄かジムで報告ください。

 

さて、本題。

 

デッドリフト(以下、本文DL)の解説記事は、当サイト以外でも良くみかけますが上げ方については細かく記載されていても、下ろし方についてはあんまり言及されてません。恐らくだけど、海外からの翻訳が主流になってるからでしょう。

ところが日本のジムで、トップポジションから落として良いジムはそうそうありません。かといって、適当な下ろし方をすると腰を痛める要因の1つになっちゃいます。どこからなら荒く落としても大丈夫かの許容範囲もジムによってけっこう違うようなので、とりあえずはノーサウンドで下ろすつもりで解説していきます。ジムの許容範囲に応じて調節してください。

まずはトップポジション!

私が恐れ多くも人様にDLを教えてください。と、聞かれた場合はまずトップポジションからスタートします。理由は何故か?DLって、下から上げる種目なんで目的地不明な種目なんですよね。スクワットやベンチプレスであれば、ラックから外した状態が目的地になるので、必要無いですけどDLの場合では、トップポジションが定まらないので、目的地を明確にしてもらう為にトップポジションから教えます。

実際にやってもらうと、今までの感覚と全然違いました等と、良いフィードバックをいただけます。

それでは、トップポジションを下半身から順々解説していきます。

膝関節と股関節

トップポジションでは、体がカカトから頭まで一直線になります。カベを後ろにカカトを付けてマッスグ立ってもらう感覚がわかりやすいかと思います。

まず、膝関節をマッスグにして、大腿四頭筋をギュッと絞りましょう。

問題は股関節です。お尻にギュッと力を入れて、股関節もしっかりとロックアウトしましょう。股関節をしっかり使う感覚を覚える事でスクワットも安全に行うことが可能です。

股関節をギュッとするって、どういう事?って思われた方。以下の記事が参考になりますので、少々長いですが読んでみてください。

 1. 割り箸!!

個人的に一番よく使うのが「割り箸!!」というキューです。テレビのお笑い番組等で見たことがあるかもしれませんが、下着のパンツをTバック状態にした上で、そこに水平に割り箸を差し込み、お尻に力を入れる事により割り箸を割るという伝統芸能(?)が存在します。何を言ってるのか理解できない場合はこちらの動画をご参照ください(注意:あまり見ていて気持ちの良いものではありません)。場合によっては折れた割り箸がお尻に突き刺さる事もある非常に危険な芸当です。

この伝統芸能についてアスリートに説明したうえで「割り箸を割るような気持ちでお尻に力を入れるように」と指導するとお尻の筋肉の使い方があっという間にうまくなります。まさに割り箸マジック!!

さらにこのキューの素晴らしい点は、最初にこの伝統芸能についての説明をしてアスリートが理解さえしていれば、その後はエクササイズ中にお尻に力を入れて欲しい時は「割り箸!!」という短いフレーズを繰り出すだけで良いという点です。個人的にはキューは短くてシンプルなものがベストだと思います。

ちなみに、最近の若いアスリートにこのキューを使おうとしても、そもそもお尻で割り箸を割る宴会芸を知らないアスリートが多いと感じます。まさにジェネレーションギャップ!!そんな時は、代わりに以下のキューを使ってみてください。

2. くるみ!!

くるみって固いですよね。そんなくるみをお尻の割れ目に押し込んで、お尻の筋肉を収縮させる事によって砕いてみせる・・・。そんな芸当をアスリートに説明しておいて、エクササイズ中は「くるみ!!」と叫べば、お尻に力を入れるキューの出来上がりです。

3. ダイアモンド!!

最近、導入を始めたのがこのキュー。上記のくるみバージョンと同様に、石炭をお尻の割れ目に押し込む事をアスリートに想像させます。その上で「お尻に力を入れて石炭をつぶすように圧力をかけることで、石炭をダイアモンドに変えてみせろ〜」という説明を事前にしておけば、エクササイズ中は「ダイアモンド!!」という短いキューを用いるだけでアスリートが反応してくれるはずです。

4. 番外編

他のキューのように声をかけるわけではなく、人差し指でお尻をツンツンとつつくのも一つのキューです。それぞれ聴覚キューと触覚キューと分類できるのかもしれません。

お尻をツンツンとつつくと、アスリートはお尻に力を入れる事を思い出したり意識しやすくなり、S&Cコーチとしてはお尻の筋肉を使えているかどうかが確認できるので一石二鳥です。
http://kawamorinaoki.jp/?p=159347477

上記の記事は、あくまでもコーチ視点での記事ですので、そこだけ注意しましょう。実際にDLを行う方は、トップポジションにて上記のキュー(指示出し)を受けたつもりでやってみてください。

4つも有るので、1番しっくり来るものを選べば良いでしょう。私が教えてくださいと頼まれた場合は、4のお尻ツンツンを利用します。異性からの依頼は来たことないですけど、来たら違うの考えます。来ること有るんかしら??・・・

下背部と肩甲骨

DLのトップポジションで良くある間違いが反りすぎです。プラスで下背部が反りすぎの人は、肩甲骨も寄せすぎです。恐らくだけど、胸を張らなきゃ!という意識や背中に効かせなきゃ!という意識が強すぎて、そうなるんだと思われます。

腰より上は、マッスグであれば問題ありません。イメージとしては、カベにピタッと付いて立つ感覚で良いです。下からカカト・お尻・肩甲骨・後頭部をくっつける感覚です。

肩甲骨を寄せ過ぎたり、背中を反らしすぎたりすると、カベにピタッと立てませんよね?これ、やり過ぎの例なので、気をつけましょう。

下ろす第一動作は背中マッスグ!お尻を引く

上記で作ったトップポジションから下ろしていく作業に入るわけですが、膝から曲げないように注意しましょう。バーは体から離れたがっているので、広背筋をしっかりと緊張させて、バーが体から離れないように注意してください。

カカトに体重を乗せて体の緊張を少し緩め、お尻を後ろに引いて行きます。この段階では、股関節以外の筋肉は引き続き緊張させておきましょう。肩甲骨が開いてしまったり、背中が曲がったりしないように気をつけて行ってください。膝関節も軽く緩める程度にしましょう。

お尻を後ろに下げた分、バーが下降していきます。膝を超えるまでは、上記の状態を保ちましょう。

膝を通過後に膝を曲げる

バーが膝を通過したら、膝を曲げていきます。一般的なジムだと、膝を通過した辺りで力を抜いても恐らく怒られません。もしも、ノーサウンドで行う場合は、引き続き上半身はしっかりと引き締めて行ない、膝を曲げてバーを静かに床に下ろしましょう。

下ろす動作中、バーは常に体の1番近い場所を通るようにしましょう。そうすると、必然的に足に沿って降りてきます。この時もバーは体から離れたがっているので、広背筋の力を抜かずに引き続き、引き締めておくようにします。

最初に膝を曲げるとどうなるか?

バーが膝を通過する前に膝を曲げ始めると、バーは膝を通過する際に余計な負荷がかかります。ウォームアップ程度の重量であれば特に危険もありませんが、メインセットの重量だとケガの発生にも繋がるので気をつけましょう。

膝を通過する前に、膝が曲がる場合は?

ハムストリングス・臀筋群の強さ・柔軟性が足りてません。DLを始める前に、グッドモーニングやルーマニアンデッドリフトをやり込みましょう。1ヶ月もしっかりとやり込めば、ハムストリングスの柔軟性が付いて、上記で書いた下ろし方が出来るようになります。

セットアップ

さぁ、ようやくリフトする準備が整いました。

ウォームアップ程度の重量ならば、上記の下ろし方でそのままセットアップが完了しています。下を見て下ろしている場合は胸が下がっている場合も有りますので、胸を張り直せばOKです。

メインセットの場合は、色々と崩れているでしょうから、まずはウォームアップ程度の重量でしっかりとセットアップをマスターしてください。ここまで来たら、後は引くだけです。

  1. 足場をしっかり固めて、カカトに体重を乗せ
  2. 胸を張り
  3. 目線を決め
  4. 思い切り息を吸って、お腹周りを固めましょう

ファーストプル

バーが床から、膝関節を超えるまでを一般的にはファーストプルと呼びます。この段階では、上半身の前傾を保ったまま、足で地面をグッと押してバーを引き上げます。下背部・上背部の筋肉の緊張も維持して、背中が開かないように注意しましょう。

上半身の前傾がファーストプルの際に、深くなってしまう(膝と一緒にお尻も上がってしまう)状況は、疲労がたまってくると出て来る症状です。もし、トレーニングパートナーが居る状況ならば、この時点で注意してもらって休憩しましょう。結構、腰に負担がかかってます。

反対に前傾が浅くなってしまう方は、膝が邪魔してバーが垂直移動出来ません。この場合は単に重量設定がミスってます。リストストラップを付けてると、強引に上げきっちゃう事も出来ますが、こちらも腰にかなりの負担がかかるので、辞めときましょう。

セカンドプル

DLの動作で、膝を超えてからトップポジションまでをセカンドプルと呼びます。ナロースタンスのDLでは、握力に問題が無いorリストストラップを付けていれば、そのまま引ききれます。

もっかいトップポジション!

ウォームアップ程度の重量ならば、上半身は全て固定したまま100点満点のDLが可能でしょうがメインセットにもなると、背中が若干開いたり下背部が多少丸くなるかと思われます。トップポジションでは、そこら辺をギュッと引き締めて最初に説明したマッスグに戻しましょう。

この後、安全にバーを下ろして1rep完了です。2rep目に入る前に、セットアップをし直して2rep目に入りましょう。

お知らせ

デッドリフトの降ろし方について特化したページを動画解説つきで書きました。是非ともそちらもご覧くださいませ。

【動画有り】ジムの許容範囲別デッドリフトの下ろし方

気合が入りそうな動画

私が好きな、ウェイトリフターのDL動画です。気合付けにでも見てください。

2 COMMENTS

ケン

これまで色々なサイトでデッドリフトの解説を読んできましたが、こちらのサイトが1番内容が深く、分かりやすかったです。

お忙しいとは思いますが、デッドリフト 以外の主要な種目(ex.BP/SQ/OHP…etc)も解説していただけたら嬉しいです!!めちゃくちゃ楽しみにしています!!

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